世界4大文明のひとつ メソポタミア文明

古代文明

メソポタミア文明の概要

メソポタミア文明は、紀元前4000年頃から紀元前539年まで現在のイラク一帯に栄えた古代文明です。この地域は、ユーフラテス川とティグリス川の流域に位置しており、肥沃な河川流域の恩恵を受けて、農業や牧畜、商業などが発展しました。

メソポタミア文明には、数多くの都市国家が存在し、最も有名なものに、ウル、ウルク、ラルサ、バビロンなどがあります。これらの都市国家は、王権が支配し、国土を統治していました。
メソポタミア文明の最大の貢献は、文字の発明でした。シュメール人は、楔形文字と呼ばれる文字を発明し、最初に書物を作成しました。これにより、文化や知識の伝承が容易になり、政治や商業、宗教的な文書も書き残されました。

また、メソポタミア文明は、建築技術や天文学、数学、法律、哲学などの分野でも大きな発展を遂げました。バビロニア王ハンムラビによって作成されたハンムラビ法典は、古代の法制度として有名です。
メソポタミア文明は、周辺地域と交易を行い、エジプトやインダス文明とも交流がありました。しかし、紀元前539年には、ペルシャ帝国に征服され支配されました。

シュメール文明

シュメール文明(以前の記事)は、メソポタミア文明の最初期の文明であり、紀元前4000年頃から紀元前2000年頃に栄えた文明です。
メソポタミア文明は、シュメール文明が発展し、それ以降に栄えた文明全般を指す言葉であり、シュメール文明を含みます。
つまり、シュメール文明はメソポタミア文明の一部であり、メソポタミア文明は、シュメール文明を含む複数の王国や帝国によって形成された文明全般を指します。

メソポタミア文明の特徴

メソポタミア文明の特徴は・・・

  1. 楔形文字の発明 メソポタミア文明は、文字の発明を行い、楔形文字を作り出しました。この文字は、楔形の形状をした文字であり、粘土板などに刻まれ、政治や商業、宗教的な文書などを書き残すことができました。
  2. 都市国家の発展 メソポタミア文明は、多数の都市国家によって形成されました。これらの都市国家は、王権が支配し、国土を統治していました。有名な都市国家には、ウル、ウルク、ラルサ、バビロンなどがあります。
  3. 農業・牧畜・商業の発展 メソポタミアは、ユーフラテス川とティグリス川の流域に位置し、肥沃な河川流域の恩恵を受けて、農業や牧畜、商業が発展しました。穀物や果物、牛、羊、魚などが生産され、交易も盛んに行われました。
  4. 建築技術の発展 メソポタミア文明は、建築技術の発展にも貢献しました。有名な建築物には、ジグラトと呼ばれる塔があります。また、貯水池や灌漑施設などの建設も行われ、農業や都市生活の発展に大きく寄与しました。
  5. 数学や天文学、法律、哲学の発展 メソポタミア文明は、数学や天文学、法律、哲学などの分野でも大きな発展を遂げました。バビロニア王ハンムラビによって作成されたハンムラビ法典は、古代の法制度として有名です。また、天文学では星座や暦の発展、数学では角度や円周率の概念が確立されました。

これらの特徴からも分かるように、メソポタミア文明は古代文明の中でも重要な文明で、様々な分野での発展が見られた興味深い文明です。

メソポタミアの楔形文字

参考:ペルセポリス アパダーナ東階段 楔形文字

メソポタミアの楔形文字は、世界で最初に発明された文字の一つであり、メソポタミア文明初期の紀元前4千年紀頃から使用されました。この文字は、楔形の形をした印を粘土板に刻んで作られました。

楔形文字は、商業や政治、宗教的な文書などの書き残しに使用されました。最初は、印章として使用されていたものが、文字に発展し、文字を縦横に書くようになりました。また、楔形文字は、全ての言語を表すものではなく、主にシュメール語、アッカド語、バビロニア語、アッシリア語などに使用されました。

楔形文字の特徴として、以下のようなものが挙げられます。

  1. 形状が特徴的である 楔形文字は、三角形を組み合わせたような形状をしており、非常に特徴的な印象を与えます。文字の形状は、目的に応じて異なり、縦書き・横書きの区別もありました。
  2. 複数の意味を持つことができる 楔形文字は、1文字が複数の意味を持つことができます。発展の初期段階では、単語による表現がなく、音節で表現されていたためです。そのため、同じ音節を表す文字が複数あり、意味によって使い分けられました。
  3. 書き方が難しい 楔形文字は、書くのが非常に難しい文字です。文字を書くためには、粘土板に彫り込むための専用の器具を使い、細かい作業が必要でした。また、正確な筆記法を必要としたため、文字を書くことができる者は限られていました。

楔形文字は、後に他の文字に取って代わられることになりましたが、その発明は文字の歴史において画期的な出来事であり、多くの文化に影響を与えたと考えられています。

メソポタミアの天文学

メソポタミアは、天文学の分野においても古代から高いレベルの知識を持っていました。メソポタミア文明が発展した時期には、天文学の観測と研究が重要な役割を担い、宗教的儀式や農業の予測に使われていました。

メソポタミアの天文学の特徴は、以下のようなものが挙げられます。

  1. 星の観測 メソポタミアの天文学者は、天体の観測に大きな関心を持っていました。特に、恒星の動きや位置を観測し、星座を作り出しました。彼らはまた、月の満ち欠け、日食、月食など、日々の現象を記録し、予測しました。
  2. 暦の発明 メソポタミアは、暦の発明でも有名です。暦は、農業や商業などの活動を組織化する上で重要でした。メソポタミアの天文学者たちは、太陽暦や月暦など、様々な暦を作り出しました。彼らは、一年を365日とする太陽暦を使用することも考えたが、月の動きを観測して月暦を使用することを選択した。
  3. 宗教との関係 メソポタミアの天文学は、宗教的な儀式や祭りに密接に関係していました。たとえば、太陽神シャマシュや月神シンは、それぞれ太陽と月の象徴であり、天文学的な観測や予測にも用いられました。

メソポタミアの天文学は、後の西洋天文学に大きな影響を与えました。例えば、メソポタミアの天文学者たちは、天体の周期や観測データを記録するために、円盤状の粘土板に楔形文字で記録する方法を開発しました。これは、後に西洋での天文学における天体の位置の計算にも使われるようになりました。

メソポタミアの神<宗教>

メソポタミア文明では、多くの神々が存在し、彼らは人々の生活に深く浸透していました。自然現象や人間の生活において重要な役割を担うものとして、崇められていました。

代表的な神々をいくつか紹介します。

  1. アッシュール アッシュールは、アッシリア王国の守護神で、知恵や戦争、文化、芸術、農業などの神聖な力を象徴していました。
  2. エンキ エンキは、知恵の神であり、淡水の神でもありました。シュメール神話において、人間を創造する際にも重要な役割を果たしました。
  3. イシュタル イシュタルは、美と愛の女神で、シュメール神話において、天地創造の際に重要な役割を果たしました。また、性愛や戦争などの神聖な力も象徴していました。
  4. シン シンは、月の神であり、メソポタミア文明において最も重要な神の1つでした。月の満ち欠けや運行を支配し、農業や商業においても重要な役割を担っていました。
  5. ムルドゥク ムルドゥクは、バビロニア神話において、智慧と創造の神とされています。創造神エアや母神ダムクィナの息子であり、人間を創造する際にも重要な役割を果たしました。

これらの神々は、人々の日々の生活に深く浸透し、神話や儀式、祭りなどにおいて重要な役割を担いました。また、神々に対する信仰心は、メソポタミア文明の社会や文化においても重要な要素となっていました。

メソポタミア文明について ‥所感

メソポタミア文明の本格的な研究は、19世紀後半に始まりました。フランスやイギリスなどのヨーロッパ諸国の考古学者たちが、メソポタミアの各地で発掘調査を行い、多くの遺跡や遺物が発見されました。特に、ドイツの考古学者ロベルト・クレイトンが、1901年に紀元前2千年紀のバビロニア王ハンムラビによる法典を発見したことは大きな事件でした。この法典は、当時のバビロニア社会における様々な法律や刑罰、商取引に関する規定などを規定しており、当時の社会情勢や法律制度に関する貴重な情報を私たちに教えてくれました。
メソポタミア文明の研究はいまだに進められ、近年ではイラクのニップル遺跡での新たな宮殿の発見や紀元前4千年紀にさかのぼるとされる銅器が発見されたりしています。
古くから研究されていますが、どんどん新たな発見がされ、非常に興味深く感じています。
メソポタミア文明だけではありませんが、人類の文化的・歴史的遺産を守り続けることは意義深いものだと思います。

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