北アメリカの岩窟宮殿 メサ・ヴェルデ

北アメリカの岩窟宮殿メサ・ヴェルデ 古代遺跡

メサ・ヴェルデ(Mesa Verde)は、紀元前600年頃から1300年半ば頃まで、先住民のアナサジ族(Ancestral Puebloans)が居住していたアメリカ合衆国コロラド州南西部にある古代のクリフドウェリング(岩棚住居)跡地です。現在は国立公園になっています。

メサ・ヴェルデ遺跡の概要

メサ・ヴェルデ遺跡は、複数の集落が存在するメサ(テーブルマウンテン)上に建設されており、住居や倉庫、祭祀所、集会場などからなる複合的な建造物が多数残されています。また、岩に刻まれたペトログリフや、壁画、遺物なども発見されており、アナサジ族の生活や文化を知るうえで貴重な資料となっています。

メサ・ヴェルデ遺跡は、第二次世界大戦後に発掘調査が本格化し、今日では国立公園に指定されています。また、1987年には、ユネスコの世界遺産に登録されており、多くの観光客が訪れる人気の観光スポットの一つとなっています。

アナサジ族とは

プエブロインディアンのアナサジ族は、紀元前1世紀から13世紀半ばまでこの地域に住んでいたと考えられています。

メサ・ヴェルデには、多数の家屋があり、これらの家屋は、深い渓谷の崖の上に建てられています。
アナサジ族は、自然環境をうまく利用して、家屋を建てる技術を開発しました。石灰岩を切り出し、煉瓦状に積み上げることで、強い構造を持つ家屋を建てました。

また、アナサジ族は、農業を行っていました。
渓谷底にある川の水を利用して、トウモロコシや豆類、カボチャなどを栽培していました。この農業によって、アナサジ族は豊かな生活を送ることができました。

しかし、13世紀半ばになると、アナサジ族はメサ・ヴェルデから離れ、この地域から消えました。その理由は、今も謎に包まれていますが、気候の変化や社会的な問題が関係していると考えられています。

メサ・ヴェルデ遺跡の特徴

メサ・ヴェルデの最も特徴的な特徴は、岩壁に掘り込まれた「クリフ・ドウェリング」です。これらの住居は、岩盤に切り込まれた小さな部屋から、複数の階層を持つ大規模な建造物までさまざまでした。これらの住居は、木材を使わず、主に岩や泥で建てられていました。

クリフ・ドウェリングとは

「クリフ・ドウェリング」は、岩壁に掘り込まれた住居のことです。主に砂岩などの軟らかい岩層を利用して、先史時代から中世にかけて、世界中で作られました。

クリフ・ドウェリングは、断崖絶壁に囲まれた地形に位置し、狭い空間を効率的に利用することができました。一部のクリフ・ドウェリングには、複数の部屋や階段があり、石灰岩の柱や木材を使った支柱で支えられているものもあります。また、いくつかのクリフ・ドウェリングには、天井に穴が開けられ、太陽の光を取り入れるための窓が作られています。
現在でも、いくつかのクリフ・ドウェリングは世界中で見ることができ、歴史的な建造物として大切に保護されています。

アナサジ族のプエブロ文化

アナサジ族に深く関係するプエブロ文化について少し触れておきます。

プエブロとはスペイン語で「村」を意味し、プエブロ文化の人々は、村落社会を形成して生活していました。
プエブロ文化の人々は、アリゾナ、ニューメキシコ、コロラド、ユタ、オクラホマ、テキサス州などに居住し、言語や文化、宗教などの面で多様な特徴を持っています。
プエブロ文化の人々は、陶器や織物、彫刻、宗教儀式用のマスクや衣装など、独自の文化的芸術を発展させてきました。また、自給自足の農業を営み、トウモロコシや豆類、カボチャなどを栽培していました。
プエブロ文化は、先コロンブス期から現代に至るまで継続的に発展を遂げ、アメリカ合衆国南西部の豊かな文化遺産の一つとして高く評価されています。

メサ・ヴェルデの謎

メサ・ヴェルデ遺跡の最も注目すべき特徴は、その建築と地理的配置です。
クリフダウンハウスは、非常に険しい崖の上に建てられており、多くの建物は地下室や隠し通路を備えています。建物の多くは、木材を含まない石造りで構成されており、これらの石材の切り出し運搬がどのように行われたかは、未だに謎となっています。

また、クリフダウンハウスからは、数千人が住んでいたと思われる大規模なコミュニティが発見されていますが、この地域の住民たちは、およそ100年のうちにこの地域から姿を消しました。この消滅の原因は、未だにはっきりしていませんが、食糧不足、気候変動、病気などが関係しているとされています。

メサ・ヴェルデの謎は、今も多くの研究者たちの関心を集めています。建物の構造や住民たちの生活、そして彼らの消滅の原因など、未だに解き明かされていない謎が多く残されています。

メサ・ヴェルデについて ‥所感

アナサジ族の文化遺産「メサ・ヴェルデ」は、その独自性や美しさ、持続性などから、現在でも多くの人々の注目を集めています。その生活様式や信仰、建築技術などは、現代にも大きな影響を与えていると感じられ、彼らの文化遺産を守り、伝えることは重要な課題であると感じます。

メサ・ヴェルデについては、これまで多くの研究が行われており、アナサジ文化に関する知見を深める上で重要な遺跡であることが分かっています。しかし、未だ解明されていない謎や新たな発見がある可能性もあり、今後も研究が進められることを期待しています。
私自身も、遺跡の現地調査や研究に興味を持っており、一度は現地に赴きたいと考えています。専門的な知識を身につけることで、地域社会や世界に貢献できるようになりたい‥と思います。

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