英国の国定史跡 ストーンヘンジ

イギリスの国定史跡ストーンヘンジ 古代遺跡

ストーンヘンジとは

ストーンヘンジは、イギリス南部ウィルトシャー州にある、巨石を用いた古代の神殿的建築物で、世界的に有名な史跡です。現在は英国の国定史跡として管理されています。
主に「大石の円」、「小石の円」、「ヒールストーン」、「サーカル」の4つの部分から構成されています。大石の円と小石の円は、石柱を立てた円形の環状列石で、ヒールストーンは中央に立てられた1本の石柱で、サーカルは内側に掘られた溝で囲まれた部分です。

・大石の円:外周約30メートル、高さ約5メートル、石柱の直径は最大約4.9メートル、重さは最大約50トン
・小石の円:外周約108メートル、高さ約1.5メートル、石柱の直径は最大約1.2メートル、重さは最大約1.5トン
・ヒールストーン:高さ約6.7メートル、重さは約16トン
・サーカル:外径約110メートル、内径約95メートル

ストーンサークルの歴史

ストーンヘンジの歴史は、紀元前3000年頃から紀元前1600年頃までの間に遡ります。
時代順に追ってみましょう。

  1. 新石器時代(紀元前3000年頃 – 紀元前2100年頃)
    ストーンヘンジの建設が始まったのは、新石器時代後期の紀元前3000年頃であると考えられています。当初は、木材や土塁などで構成された構造物であったとされ、後に巨石が使われるようになりました。この時期には、ストーンヘンジの主要な部分である「大石の円」や「小石の円」が建設されました。
  2. 青銅器時代(紀元前2100年頃 – 紀元前750年頃)
    青銅器時代には、ストーンヘンジは拡張され、内部に埋葬された骨が発見されているため、葬儀に関連する儀式が行われたと考えられています。この時期にはストーンヘンジ周辺には多くの墓が築かれ、それらの墓の様式から、ストーンヘンジが葬儀に関連した宗教的な場所であったことが推測されます。
  3. 鉄器時代(紀元前750年頃 – 紀元50年頃)
    鉄器時代には、ストーンヘンジ周辺に多くの住居や農地が整備され、ストーンヘンジが農耕や天文観測、カレンダーとしての役割を果たしたと考えられます。ストーンヘンジの一部の石柱は、ウェールズやスコットランドから運ばれたとされ、周辺地域との交流があったことが示唆されます。
  4. ローマ帝国時代(紀元43年 – 410年)
    ローマ帝国時代には、ストーンヘンジ周辺にはローマ時代の建物や道路が建設されました。ローマ人たちは、ストーンヘンジが何のために建てられたのかを知っていたかもしれませんが、その知識は失われてしまいました。
  5. 中世以降(5世紀以降)
    中世以降は、ストーンヘンジは「魔女の舞踏場」として語り継がれ、民間伝承の中でも重要な存在となりました。近隣住民たちは、ストーンヘンジの石を運び去ろうとする者たちから石を守るために、ストーンヘンジを囲む「ヒッジ(生垣)」を築きました。

18世紀以降には考古学的な関心を集めるようになり、多くの調査や修復が行われるようになりました。

ストーンヘンジの建築について

ストーンヘンジと夕焼け

ストーンヘンジの建築について、石の運搬や組み立て方法などを紹介します。

石の運搬方法

ストーンヘンジの建設に使われた石のほとんどは、サリー州のマールバー・ダウンから採掘された砂岩で、高さは最大で5メートル、重さは最大で50トン以上と言われています。
石の種類によって運搬方法は異なりますが、一般的には、石を転がす、滑車を使って引き上げる、またはトンネルを掘って運び出すなど様々な方法で運ばれたと考えられています。
石の重量や形状によって、運搬には大変な労働力が必要だったと想像できます。

組み立て方法

前述したような大きな石をどのように組み立てたのか、現在でも不明な点が多いですが、以下に一般的に考えられている有力な説を紹介します。

ストーンヘンジの歴史でも触れましたが、ストーンヘンジは4段階に分けて建設されたとされています。
最初の段階は、紀元前3100年頃に、円形の土盛りの中に木柱を立てた「ハンゲド・モニュメント」と呼ばれるものが建設されたとされています。その後、段階的に石柱が設置され、最終的に紀元前2300年頃には、現在見ることのできる形にまで発展しました。

石柱の組み立てには、まず穴を掘り、その中に石柱を据える方法が取られたとされています。また、石同士を縦横にはめ込む「テノン・アンド・モルティス」という組み合わせ方法も用いられています。これは、石の一方には突起をつけ、もう一方にはそれに合わせた穴を掘っておくことで、石を簡単にはずすことのできない状態にする方法です。

謎の建築技術

ストーンヘンジの建築技術には、現代でも解明されていない謎が多く残されています。
例えば、石を運び込むための土木工学的な技術や、大型石材を精度よく削り出す技術などが挙げられます。ストーンヘンジの建築には、日時計としての役割があったとされていますが、その正確な計測方法についても不明な点が多く、研究者たちは今でも様々な説を提唱しています。

ストーンヘンジの謎

ストーンヘンジ

ストーンヘンジには、未だに解明されていない謎が多数存在しており、謎解きや推理小説の題材としても人気があります。ここでは、ストーンヘンジの謎の中でも特に注目を集めているものをいくつか紹介します。

石の運搬方法

ストーンヘンジに使用されている石の中には、現在のストーンヘンジから数十マイル離れた場所から取られたとされるものがあります。このような巨大な石をどのようにして運んだのか、研究者たちは解明できていません。ストーンヘンジの建設当時には、まだ車輪が発明されていなかったため、石を運ぶのは一層困難だったとされています。
研究者たちは、人力や木材を使った輸送方法が用いられたのではないかと考えていますが、詳細は謎のままです。

建設目的

ストーンヘンジが何の目的で建設されたのか、その謎は現在でも解明されていません。
いくつかの説では、ストーンヘンジが天文観測に用いられたとするものがあります。しかし、そのほかにも、宗教的な儀式や、治療などに用いられたとする説などがあり、諸説紛々としています。中には、ストーンヘンジがエイリアンの手によって建設されたとする都市伝説的な説も存在しています。

石の配置

ストーンヘンジの石は、非常に精密に配置されています。特に、内側の円状列石群の中心にある「ヒールストーン」と呼ばれる石は、厳密な方位に配置されており、太陽や月の動きを追跡することができます。このように精密に配置された石が、どのようにして正確な位置に設置されたのか、研究者たちは謎を解くことができていません。

ストーンヘンジとドルイドとの関連

ストーンヘンジ

ストーンヘンジは、古代ブリテン島において最も謎の多い遺跡の一つとして知られています。その謎の一つに、ドルイドとの関連があります。ドルイドは、古代ケルト人の宗教的指導者であり、ストーンヘンジに対して重要な役割を果たしていたとされています。

ストーンヘンジの建設時期は、紀元前3000年から紀元前1500年の間とされており、ドルイドの時代にはまだ建物が存在していたと考えられています。古代ケルト人たちは、自然崇拝を行っており、ストーンヘンジが日輪崇拝と関係しているとする見方があります。
ドルイドたちは、自然崇拝を司る役割を担っていたため、ストーンヘンジにおいても重要な役割を果たしたと考えられています。

また、ストーンヘンジは、夏至や冬至などの太陽の動きを観測するための天文観測施設としての側面も持っているとされています。ドルイドたちは、天文学にも精通しており、ストーンヘンジの建設や天文観測に関わったという説もあります。

しかし、ストーンヘンジとドルイドの関係については、多くが謎のままであり、はっきりとした証拠が存在していません。そのため、ストーンヘンジとドルイドの関連については、推測や仮説に基づく説が多い状況です。
一方で、ストーンヘンジがドルイドの祭儀に関連していたとする見方もあります。例えば、ドルイドたちは、夏至の日にサルターン(車輪)を作って、それを転がすことで、悪霊を追い払うとされています。ストーンヘンジには、車輪の形をした巨石が存在しており、これがドルイドたちが行っていたサルターンに関係しているのではないかとする説もあります。

ストーンヘンジとドルイドの関連については、今後の研究や発掘で新たな発見があることを期待したいところです

ストーンヘンジの観光

ストーンヘンジはイギリスのウィルトシャーにある観光スポットのひとつで、年間を通じて多くの観光客が訪れています。英国の重要な歴史的建造物のひとつであり、世界遺産にも登録されています。

ストーンヘンジには観光客向けに整備された施設があり、無料駐車場、チケット販売所、カフェ、土産物店、トイレなどがあります。現地ガイドによるツアーやオーディオガイドを利用することもできます。ストーンヘンジの周りには、広大な丘陵地帯が広がっており、散策やピクニックなども楽しめます。

注意点としては、ストーンヘンジ自体には触れたり、登ったりすることはできません。遺跡の保存のため、近くでの飛行やドローンの使用は禁止されています。上からの写真を撮りたい!と思う気持ちは解りますけどね‥ダメなんです。

ストーンヘンジについて ‥所感

ストーンヘンジは有名な遺跡ですので、小学生のことから知っていた‥という方がほとんどではないでしょうか。もちろん私もその一人ですし、大好きな遺跡の一つです。学校の授業で学んだこともありますが、改めて調べると、その不思議さや神秘性に魅了されます。
ストーンヘンジの巨大な石柱は、その重厚感や精巧さに驚かされます。建設当時、人々がどのようにしてこれらの石を運び、積み上げたのか、多くの研究者がその謎に取り組む魅力も理解できますし、建設を手掛けた人々のその力強さに感動します。
ストーンヘンジは、そこには何か神秘的な力があるように感じられるのも多くの人を魅了し続けている理由ではないでしょうか。
今後、新たな発見や研究での解明を期待したい遺跡の一つです。

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